Officeの牙城を揺るがしたのは

前回の
M365とGWSのどちらを選ぶか?
という事について書いた記事の中で、サラリとOfficeの盤石な地盤をBOXが揺るがしたというようなことを書きました。

今回はこれについての持論を書いてみたいと思います。
私見ですが、そんな大外れな話ではないと思います。^^;

さて、Officeの強み
ですが、個人的には≒Excelが強い
ともいえると思います。

もちろん、パワーポイントもワードも優れたアプリではあるものの
それ単独で考えると代替が効くと言えば効くものです。
一方でExcelはcsvファイルを開くツールという側面もあるために
なんらかのシステムを導入している企業では、非常に依存度の高いツールと言えます。

【csvとは】
システムとシステムの間でデータをやり取りする際によく使われるファイル形式
別にExcelじゃないと開けないファイルではないのですが
メモ帳やテキストエディタなどで開くとめっちゃ見にくいので
Excelで開くのが一般的

何故Excelへの依存度が高いかというと、
どこの会社もそうですが
システムを導入しているとはいえ、システムそれだけで業務が全て完結するわけではなく
実際はデータをダウンロードして、そのデータを加工して見やすくする
なんてことが頻繁に行われます。
そんな時によく使われるのがExcelなんですが
そんなExcelも加工したものが出来上がると誰かと共有する機会も多くなるので
必然、Excelをベースにして情報の共有が始まります。

つまり、

システム間で情報をやり取りするのにcsvという形式でやり取りをすることが多い

なのでシステムからデータを取り出すときもcsvの形式になることが多くなる。

csvを開くのに便利なのはExcelなので、みんなExcelを頻繁に使うことになる

システムから取り出したデータを加工するのも、そのままExcelですることが多くなる

結果、Office(というよりもExcel)でみんな会話をするようになる。

という流れになり、
仕事上の標準ツールとしてExcelが定着し、はやウン十年
誰もがExcelで情報のやり取りや説明などを行うようになりました。

これがOfficeの最大の強みであり、非常に高い参入障壁になっていました。

実際、私の肌感ですがGoogleWorkSpace(当時はGSuiteという名前)がリリースされた当初もこのExcelがネックになり、企業の導入意欲も低かったと思います。
Google自身もそこはよくわかっていて
価格もOfficeと併用してもMicrosoft365と対抗できるような価格に抑えられていたと思います。(買い切りのoffice+GWS≒M365)

しかし、この流れを大きく変える存在が現れました。
それがオンラインストレージの雄、BOXの登場です。
BOXがどういうものか?という詳細についてはさておいて
BOXの何がOfficeの優位性を損なわせたのか?というと
BOXはその当時まだ信頼性に懐疑的だった世間にオンラインストレージというものを定着させました。
この功績がOfficeの牙城を崩してしまったと考えています。

そもそもExcelがこれまで圧倒的な優位性を持っていたのは
上に書いたように、共通言語としてExcelというものが存在していたからで。
「今更Excel辞めて他のツールにしろと言われても、取引先もExcel使ってるしねぇ・・・」
という理由が強かったからです。
相手先にメールで送るファイルがExcelだし、送られてくるファイルもExcelなので
Officeがないと話にならなかったわけですが
そこにBoxが根本的な問題提起を行います。
「そもそも、ファイルをインターネット上に流すから盗まれたり、間違った相手にファイル送ったりしてセキュリティ事故を起こすんでしょ?もうそれはやめてみんなBox上で一つのファイルを共有しましょうよ」
です。
つまり今までは下記の図のような形だったので、そういった事故が起きていたのですが

今後はこうすれば相手を間違うという事も、盗まれるという事もないでしょ?
よしんば、メールの相手を間違っても大丈夫。
ということです。

もちろん、まだ
「え?自社のファイルをクラウド上(ネット上)に保管するなんて怖いよ」
と言っている会社も多いと思いますが、これはよく考えると論理的におかしな話です。

なぜなら、これは
「いや自社のお金を銀行に預けるなんて怖いよ。自分で持っていたほうが安全だよ」
と言っているのとほぼ同義だからです。
「銀行が信用できないから全財産会社の金庫に入れてます。
だって銀行にお金があるのはみんな知ってるんだから、銀行強盗に狙われやすいでしょ?
こっちの方が絶対安心だよ」
という人はほとんどいないでしょう。

「預かることを専門としている会社よりも自社のほうがセキュリティが上だ!」
「うちはBoxよりもセキュリティ投資にお金をかけている!」
という会社があるのであれば、もう打倒Boxを掲げたほうが商売になりそうです^^;

つまり、セキュリティを問題としてBoxにデータを預けないのは
論理的に考えてナンセンスだということです。

そして、実際いくつかの企業は
情報共有をBox(オンラインストレージ)上で行ったほうが安全だ。
という事に気づき、積極的にBoxにデータを上げ始めました。

ここまでがBoxが企業に与えた大きな影響のお話です。
そしてこれがOfficeに楔を打ち込んだお話でもあります。
このあたりから潮目が大きく変わり始めました。

Googleが意識したかはさておいて、
Boxでデータをやり取りするという事に対して
社会が許容し始めた時、Googleからすると
「あれ?じゃあGoogleドライブにあるスプレッドシート(GWS版Excel)で共有することも可能だよね?」
という事が言えるようになってきます。

GWSのスプレッドシートはブラウザ上で動くものですので
Officeのようにソフトをインストールする必要がありません。
しかも、相手側がGWSを導入していなくても、GWS導入済みの会社の方から共有してくれれば、共有された側もファイルを編集することが可能です。(ブラウザで動くから)
つまり、Excelがなくても何ら困らないのです。
こんな感じ

Boxにデータを上げたほうがセキュア(安全)だという事に気づくと同時に
ファイルを直接送るという作業が不要なのであれば
Officeがなくても今までやってきた仕事は問題なくできるぞ
ということも同時に普及し始めたのです。

その結果、今まで
・Office+GWSという構成か
・Microsoft365という構成か
という選択肢しかなかったところに
・GWS単体という選択肢が加わり
オンラインストレージというもの使い方をよくわかっている会社にとって
Officeはなくてはならないツールではなくなってしまったのです。

これが私の言っている
BOXが図らずもOfficeの牙城を崩し、そこにGWSが活路を見出した
というお話になります。

ちょっと入り組んでいるかもしれませんが
しっかり読んでもらえれば理屈はわかってもらえると思います。

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