ITプロジェクト炎上を防げ! プロジェクトマネージャーが理解すべきベンダーの構造とリスク管理

 ITプロジェクトは、様々な人が関わり、1つの案件を成立させています。そのため、プロジェクトに関わる人によって、リスクと感じる部分が異なってくることがあります。プロジェクトマネージャーは、そうした様々なリスクを、それぞれの視点から評価し、コントロールしていく必要があります。

今回は、プロジェクトマネージャーがリスクをどのように捉え、対処していくべきかについて解説します。


プロジェクトの構成

まずは、プロジェクトの構成について理解しておきましょう。大規模なプロジェクトの場合、以下のような構成になることが多いです。

  1. プロジェクトオーナー: お金の面を含め、プロジェクトに関する全ての決定権を持つ人物。
  2. ベンダー側プロジェクトマネージャー: ベンダー企業側のプロジェクト責任者。
  3. 発注企業側プロジェクトマネージャー: 発注企業側のプロジェクト責任者。
  4. プロジェクトリーダー: 各プロジェクトマネージャーの下に位置し、チームを率いる。
  5. チームメンバー: リーダーの下に位置し、実際の作業を行う。

プロジェクト規模が小さくなると、オーナーは省略され、プロジェクトマネージャーの下にリーダーとチームメンバーが配置される形になることが多いです。


ベンダー側の多重請負構造

ベンダー側では、多重請負構造になっているケースが多く見られます。

  • 1次受け → 2次請負 → 3次請負 → 4次請負

のように、階層的に請け負っていく構造です。 2次請負は1次受けと、3次請負は2次請負と、それぞれ契約を結んでいます。状況によって、4次請負と1次受けが直接契約を結び直すなんて場合もあります。


プロジェクト体制の実態:商流と実態の乖離

プロジェクトを進める上での体制は、契約上の階層構造とは異なる場合があります。

  • 1次受けは、責任上必ずプロジェクトリーダーを務めます。
  • 2次請負以降は実力主義となり、階層構造に関係なく、優秀な人がリーダーや重要な役割を担うことがあります。

例えば、3次請負の会社に優秀な人材がいた場合、その人がプロジェクトリーダーに抜擢される、といったことが起こりえます。


プロジェクトマネージャーの腕の見せ所:トラブル発生時の対応

ITプロジェクトは、何事もなくスムーズに進むことは稀で、大小様々なトラブルが発生します。プロジェクト全体に影響を及ぼすような大きなトラブルが発生した場合、プロジェクトマネージャーの腕の見せ所となります。

  • 発注企業側: トラブル発生により、当初の目的であった「新しいシステムの運用による効果」への期待値が低下し、「システム導入の完了」に意識が集中する傾向にあります。
  • 受注側: 当初の目的が「システム導入の完了」であるため、トラブル発生による意識の変化は少ないです。

しかし、ベンダー側では、多重請負構造であるがゆえに、トラブル発生時に以下のような問題が生じることがあります。

  • 1次受け: 納期内のシステム実装、予定通りの運用開始など、責任を果たすことに集中する。
  • 2次請負: 1次受けに責任を押し付けようとしたり、1次受けとの今後の関係を考慮して、ある程度の努力はしようと考える。
  • 3次請負・4次請負: 報酬が支払われている間は仕事をするが、必要以上のことはしたくないと考える。プロジェクトの成功には無関心で、報酬が支払われればそれで良いというスタンスを取る。

プロジェクトマネージャーの対応:体制の問題点を見抜き、適切な行動を

プロジェクトマネージャーは、トラブル発生時に、ベンダー側の体制上の問題点を見抜き、適切な対応をしなければなりません。

  • プロジェクトリーダーに熱意を求めても、リーダーに能力がない場合は効果がない。
  • ベンダー側に問題を丸投げせず、体制に踏み込んで解決策を探る必要がある。
  • プロジェクトのキーマンが誰かを理解し、適切なアプローチを行う必要がある。

プロジェクトマネージャーの向き・不向き

プロジェクトマネージャーは、システム的な知識だけでなく、泥臭い仕事もこなす必要があります。そのため、プロジェクトマネージャーには向き・不向きがあります。

  • めんどくさい仕事は嫌だ、という人はプロジェクトマネージャーには向いていません。
  • 頼られることにやりがいを感じる人は、プロジェクトマネージャーに向いていると言えるでしょう。

まとめ

ITプロジェクトは、様々な立場の人々が関わるため、プロジェクトマネージャーは、ベンダーの構造を理解し、適切なリスク管理を行う必要があります。特に、トラブル発生時には、体制上の問題点を見抜き、キーマンに適切なアプローチを行うことが重要です。

プロジェクトマネージャーは、プロジェクトを成功に導くために、システム的な知識だけでなく、ヒューマンスキルも必要とされる、非常に重要な役割を担っています。

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