Stories 13話:最初のつまずきが取り戻せなかった

なんとか打てる手を打って、このボロボロのプロジェクトを立て直そうと頑張っていましたが事態はさらに悪化します。

次々と発生する案件に蓋が出来ないので
その案件を処理できる体制を作ろうと苦肉の策を打ったところが前回まででした。

前回書いたように、これで状況が解決すると考えるほど楽観主義ではありませんでしたが、
多少の状況改善にはなるだろうと思っていたところ、実際にこれによって少し状況は良くなりました。

特によかったのは、プロパー(社員)しかやれないことになっている仕事の1部を
名実ともに協力会社さんにお願いできるようになったという所です。
これまでは、人が足りていようが足りてなかろうが、少ない社員でなんとかせねばと
キュウキュウになっていたのですが、これを人に振れるというだけで
精神衛生上、だいぶマシになります。

勿論、いきなり渡しても処理できなかったりするので、実際のところ、負荷は減っていなかったりするのですが
いつか楽になるかもと思えるだけで、人は気力を振り絞れるものです。
先の見えない真っ暗なトンネルを歩き続けていると気分が滅入るけれど
向こうに豆粒ほどの光が見えただけで、どこにこんな力が潜んでいたのか?と思うほど、力が湧いてくる

そんな効果もあります。

そのように四苦八苦しながらなんとか打開策を打っていたのですが
そんな状況にとどめを刺したのは、やはり例のプロジェクトリーダーでした。
この人自身はとても頭がいい人なのですが、やはりリーダーには向いていない
とつくづく思いました。
彼がこんな状況のプロジェクトに次に求めたのは

「システムについてプロパーが理解していないのはまずい。
せめて言っていることがわかるレベルには達していないとまずいので
なんでも協力会社に投げる前に、自分たちでまずは処理できるように」

といってきたのです。

毎度の事なのですが、彼の言っていることは決して間違ってはいません。
しかし、状況はそれを許していないのです。

人づてに聞いたのですが彼の上司は昔
「あいつは正論で人を潰してしまう」
といっていたのらしいのですが、まさにそれによりプロジェクトが潰されようとしていました。

彼の言っていることは正しい。
私も状況が許すなら同じことを言っていたと思います。
しかし、この状況でそれを言うというのは
あたかも
点差がついた試合でどうしても起死回生の1点、流れを変える1点が欲しいから、4番バッターにスクイズをさせようかと思っていたところに
オーナーから
「おい!4番に大物狙わせないでどうするんだ!」
と横やりを入れられた
ようなものです。

ちなみにこの時に私の気持ちとしては
「あんた、今までの試合見てた!?」
です(笑)

さすがにこの段階まで来ると、私も
「これは・・・・・・もう無理かな?」
と思いました。

実際にこれ以上は打てる手がなく、プロジェクトはどんどん悲惨な方向に進んでいきます。

そして、ここから先はただただ惨い状況になっていくのを語るだけになってしまい
読んでいる人に対して何の学びも得られないと思うので
今回のStoriesはここで終わりにしようと思います。


さて、最後のまとめです。

このプロジェクトの失敗要因はいくつもありますが、
大きな要因は以下の点だと思います。

・運用保守の素人しか集まっていなかった
・プロジェクト管理ができる人間もいなかった
・プロジェクトを外部の人間に完全に任せてしまった
・そしてその外部の人間も運用保守の素人だった

このプロジェクトを立て直せる唯一のタイミングは

私が担当になった段階でシステムの事はわからなくてもいいから、
まずは案件管理とスケジュール管理をコンサルティングファームから引き剝がして管理をする。

これしかなかったと思います。

これをやれていればよかったのですが
ここは私のプロジェクトリーダーとしての欠点が出てしまった所だと思います。
過去の記事でプロジェクトリーダーには2種類あるといいました。

ここでいうカリスマ型のリーダーであれば、
担当になった時点で、人に案件をコントロールされたくないので
有無を言わさず奪い取っていたと思います。
そうすれば、この時点で大きく方向を変えることが出来たかもしれませんが、
残念ながら私はこのタイミングで「見」に入ってしまいました。

これは後々の事も考えて、コンサルティングファーム、ベンダー、社内SEの3者の調和を図りたいから
というのもあったのですが、やはりアサインされた段階で「既にプロジェクトは崖っぷちに立たされている」と早く感づくべきでした。
これは私の大きなミスだったと思います。
ここを見誤らなければ、メンバーにもあんなにつらい思いをさせずに済んでいたのではないかと今も後悔しています。

私が手掛けてきた数あるプロジェクトの中でも非常につらく、光の見えないプロジェクトでしたが、
自分のスタンスで仕事を進めるという事とは別に、状況に応じて自身の顔も使い分ける必要があるという学びにもなりました。

この点はこれからも忘れずに仕事をしていきたいと思っています。
ひとまずこのお話は終わりになります。

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