Stories 10話:前にも後ろにもいけない運用

さて、火中の栗を拾ってしまった私ですが
この運用は想像以上に大変でした。
ここからのStoriesはしばらくFoxシステムのキャッチアップをどうするかという話が続きます。

このFoxシステムの面倒を見る際の一番のネックは
過去の記事でも書いたように、このシステムの全容を理解できているのが
自社に一人もおらず、外部の人間だけという点です。

これに加えて、
私が関与しないところでいつのまにか発生する新規案件
何故か新しい仕事をよそから持ってくる元リーダー
移管しようという意思が薄い(やり方がわからない?)コンサル
次々と新しい環境を作り、連携先も目まぐるしく変えるインフラ部隊
言う事が相反する二人の上司

といった形で問題山積です。
後から思えば、システムの内容をキャッチアップすることは後回しにして
プロジェクト管理の部分だけをコンサルから巻き取って、
リソース管理、進捗管理だけでも手元に手繰り寄せるというやり方をとるのがおそらく唯一の正解だったのだと思います。

ただ、この時は
1.引継ぎを受ける社員メンバーが私を含め二人しかいなかった
2.経営からは、一刻もはやくノウハウを自社メンバーで吸収せよという催促がきていた
という要因もあり、
システムの事がわからないまま、管理業務だけ巻き取るというやり方では2点目の要求を満たせないと判断したので
いわゆる真っ当なアプローチで臨みました。

急かされてるとは言いつつも、メンバー含めてこのFoxシステムの事が全く分かっていないので
まずは、このシステムについての知識を得なくてはいけません。
幸い、構築したコンサルのメンバーはまだいるので、当座の案件についてはコンサルに任せて、メンバーにはドキュメント類の読み込みを始めてもらいました。
勿論、ドキュメントを読むという事で動いているシステムの深いところを理解するのはできませんが
何しろ、飛び交う単語の意味すらわからないので、まずはそのレベルから追い付かなくてはいけません。
それが終わり次第、案件に入り込み、徐々にコンサルから仕事を巻き取っていこうと思っていました。

しかし、この最初のアプローチから、いきなりプロジェクトリーダーから物言いがつきました。

曰く
ドキュメントを読んだところで、実務には役に立たないからなんでもいいから案件に入って手を動かせ
とのことです。

この言い分には一理あって、設計書を読んだだけで、その機能をしっかり把握するのは難しく、ちゃんと腹落ちさせるには最終的に案件に加わって手を動かしていかないと、運用保守をやっていくというレベルで理解はできません。

ただ、問題は先に述べたように、「飛び交う単語の意味すら分からない」という状況で、それを引き継いでくれる人もいないわけですから、
その状態で案件に入っても、わかってる人間とわかっていない人間の距離感がどんどん開いていくだけで「わからない度」が増していくだけです。
(このプロジェクトリーダーが今後もいろいろとネックになっていきます)

そのアプローチでは、キャッチアップが進まないということをわかってもらう為に、
説明資料やこれからのキャッチアップのスケジュールを作って見せたりと、
色々話はさせてもらったものの、毎回「俺の言うとおりにやれ」という所にしか着地できず
いい加減、
粘り強く説得を続け、自分のやり方でキャッチアップをする権利を獲得する
から
いたずらに説得に時間をかけ、本来キャッチアップに使うべき時間を浪費し、結果的にキャッチアップが大幅に遅れる
という側面が顕著になってきました。

こうなってくるともう時間が惜しいので、
あるタイミングでプロジェクトリーダーの説得はあきらめ、彼のやり方に従い、案件に参入していくことにしました。

ただし、この説得も全く無駄な時間を使ったというわけではなく
私がプロジェクトリーダーの説得を続けている裏で、他のメンバーには
ドキュメント類の読み込みを続けてもらっており
私以外のメンバーは少しは用語の意味が理解できるようになっていたので
チームとしては少し歩みを前に進めることができました。

このフェーズで
得たもの
1.私以外のメンバーは下地の知識を少し得ることができた。
2.プロジェクトリーダーの性向を知った。
失ったもの
1.時間。
2.下地を十分に得る機会。

次は私自身のシステムのキャッチアップの時間が取れない
という問題にあたります。

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