Stories 9話:カットオーバー後の問題点

さて、システムがカットオーバーし、品質にはいろいろと問題はあるものの
なんとかシステムは止まらずに動いています。

しかしながら、またしても問題が起きました。
今回カットオーバーしたシステムは2つあるのですが
ここではそれぞれを仮に
・Bear
・Fox
とします。

私がこれまで問題にあたっていたのは
Bearの方でした。
そしてこのBearのリーダーは
「もうこんなプロジェクトは嫌だ!カットオーバーした暁には抜けさせてもらいます!」
という事で、抜けることになっています。
(気持ちはとてもよくわかります。優秀な人だっただけに残念です。)
これもこれで問題なのですが、
じつはこれにさらに拍車をかける問題として、
なんとFoxのリーダーもいなくなるという事がわかりました(笑)

つまり、カットオーバーしたばかりの2つのシステムのリーダーが
ほぼ同時期にいなくなり、システムに精通した人間が誰もいなくなる
という、非常事態に陥ってしまったという事です。

Bearの方はリーダーがいなくなるという事が、ある程度前もってわかっていたので
これまでの仕事の中でなんとか現状の運用保守はできる状態までは持っていけていたのですが、Foxの方はそもそもチームに人がいなかった為、

リーダーが全て知っている。
リーダーしか知らない。

これが常態化しており、受け取る相手もいないので引き継ぎのアクションも取っていません。
準委任契約でコンサルティングファームがいたので、
なんとか運用保守はできますが、そのままの状態ではコストがかかりすぎて
いつまでたっても、導入にかかった費用を取り戻せませんし、
経営がそれを許すわけがありません。

ただ、この状態になるまで放置していた時点で経営にも責任はあると思います。
Foxというシステムはかなり重要度の高いシステムなのですが

・慢性的な人員不足による属人化
・高負荷によるメンバーの消耗

というような状態を放置しておけば、
人が抜けていってシステムが回らなくなる状況というのは想像に易いはず。
そうなって困るのは他でもない経営です。

さて、話は戻って
会社としては誰かをFoxのリーダーに据えなくてはいけませんが
みんなFoxのこの状況は知っているので、やりたがる人はいません。
しかし、だからといって誰もやらないという訳にもいきません。

一旦、ここでFoxの状況を整理してみます。

1.チームの体制は社内SE3名、コンサル5名、SIer3名

しかし、社内SEの3名のうち2名はアサインされたばかりでFoxについて理解が進んでいない。わかっているのはリーダーのみ

2.社内SEとして稼働できているのはリーダーのみなので、ほぼコンサルが実働している。

SIerへの指示もコンサルが行っており、ユーザー部門ともコンサルが直接話をしているような状況になっており、リーダー以外の社内SEについては、リリースされている機能がどういうものなのか、理解が全く進んでいない状態。言ってしまえば社内SE不在の状況

3.ユーザー自身がシステムに明るく、かなりシステムに対して踏み込んだ会話をしてくる。

その為、リーダー以外の社内SEでは会話が成立しない

こんな状態ですので誰もFoxのリーダーなどやりたくありませんし、
私の目から見て、それが務まる人もいませんでした。
それはFoxの事がわかるわからないではなく、
わからないなら、わからないなりにチームを取り廻す
ということが出来る人がいないという意味も含まれています。

私はBearのリーダーをするという事になっていたので
Foxの面倒を見ることはできませんが、おそらくこのままだとリーダー不在
もしくは誰かがスケープゴートになり潰れてしまうという事態になることが容易に想像できました。

そこで、私が考えたのは

Bearの運用保守は別の誰かに任せて、Foxのリーダーを私がする

という案です。
Bearについては、これまでの経緯でメンバーが育ったという事と、古参のサブリーダーがいたので、このメンバーに任せればおそらく運用保守はなんとかなると思います。
その上で、Foxのリーダーを私が務めるというのが、今ある手札の中でもっとも現実的ではないかと感じました。
勿論、私としても未知のシステムですし、決してやりたいわけでもありませんし
私ならやれると自信があったわけでもありませんが、誰も手を上げない状況では、もう正直これしか選択肢がないという状況でした。

案の定、私が「じゃあ、私がしましょうか?」と申し出ると、
押し付ける相手が出来たからか、そこからの話は非常にスムーズでした。(笑)
あっという間に、Foxのリーダーが私になり、Bearのリーダーはサブリーダーが務めるという事で決まり、ここからFoxの地獄の運用保守が始まるのでした。

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