RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の難しさ

今回のRPAのお話は
先の記事であるEUCのお話とシャドーITの話と関連します。
3つで一つみたいな感じです。

過去の記事で書いたように
シャドーITの存在は情報システム部門としては看過しがたいものです。
一方、EUC目線で言えば、自前でツールを作ることを許容しなければ浸透させることが出来ません。
このように二律背反を起こしているような状況なので、どう折り合いをつけるかという点で各企業、非常に頭を悩ませています。

この二律背反に更に付け加える要素として、今回の記事のRPAが加わります。
RPAはEUCの一環として考えてよいと思います。

・RPAとは
平たく言うと作業の自動化をしてくれるツールの事になります。
定型的に決まっている作業を、ボタンを一つ押すだけですべて自動でやってくれる。そんな機能です。

例をあげると、
1.他の部署からもらったテキストファイルを開く
2.EXCELを起動する
3.EXCELの決められたセルに、1.のテキストファイルに書かれている数値を張り付ける
4.関数で出た結果をコピーする
5.テキストファイルを作って、そこにコピーする
みたいな一連の作業をボタン一つでやってくれるようになる。
そんな機能です。

さて、このRPAですが、どういう風に作るかというと
・上に書いたような作業を、一旦画面上で実際にやって、それをRPAツールに覚えてもらう
というのがベースになります。
「画面で再現しただけで覚えてくれるなんてすごい!!」
と思われると思いますが、これでなんとかなるのは、非常に単純な作業だけで
結局、これだけでは足りず、簡単なプログラムみたいなものを追加しないと求めた動きはしてくれないことが大半です。
ですのでRPAを導入するという事は、多少なりともプログラムっぽいものがかけなくてはいけない
もしくはその概念が理解できていないといけない
という点がRPA導入において見落としがちな点です。

これを考慮せずに
RPAいれれば自動化が簡単にできる!作業効率もアップして、いいことづくめだ!
と思って導入すると、失敗します。

RPAが簡易に作業を自動化できるという触れ込みなのに対し、
世間に導入の成功事例が溢れていないのはこういう理由の為です。

さて、問題はここからです。

RPAによる自動化のターゲットというのは日々の細かな定型作業になります。
その為、一つ一つを情報システム部門が拾って、RPA化していくというのは現実的ではありません。
全部門巡業みたいなことをやることになってしまいます。
ですので、RPAを実装していくのはその当事者である現場の人たちになります。
まさにEUCということですね。

そして、このRPAを管理せずにユーザーのお任せとすると
まさにシャドーITの温床となってしまいます。

例えば
同じ作業なのにAさんが作っているのを知らず、Bさんが作ってしまった
少し作業にアレンジが必要だったので、もともと使っていたRPAとは別のものを作った。しかし、それが周知されておらず、他の人が旧RPAを使って作業してしまい、作業ミスが生じた
RPAが大量にあるが、どこで何を使うか全然わからない
というような事が容易に発生します。

こうなるとそもそも作業を自動化して、ミスをなくし、工数も低減するというのが目的だったのに
最新じゃないRPAを使ったせいで、作業ミスが発生した
どのRPAを使ったらいいのかわからなく、散々探し回った挙句、結局手でやった
というようなことが発生しかねません。
Pさんが退職したので、RPAごと引き継いだけれど、このRPAがどういう動きをするものかわからない
というような引継ぎ問題が発生することも想像に易いです。

つまりシャドーITのデメリットそのままです。

となると対策もシャドーITと同様に社内SEがRPAを管理するという事になります。
あれ?EUCって・・・・・
っていう事態になってしまいます。

結局RPAにせよEUCにせよ、管理が絶対に必要で
じゃあ、その管理を誰が?どこまでの細かさで行うか?
という問題はどこまでも付きまとうわけです。

さらには社内に情報システム部門がある会社でしたら
この管理問題の解決を一任することが出来ますが、
もし、情報システム部門を持つほどの規模感でない会社が
RPAに期待して導入を行った場合、それを任せる部門も知見もなく
後に広がるのはRPAの残骸達・・・・という事もありえます。

ですのでRPAを導入するにしても、きちんとどう管理していくのか?
管理にどれだけの手間がかかるのか?という事を踏まえた上で
かなり気合を入れて取り組まないと、回収できないシステム投資をしてしまうことになってしまいます。

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