コンサルティングファームってどういう時に使うの?

コンサルティングファーム(以下、コンサル)の立ち位置は別記事でも述べました。

では、実際にコンサルと契約する時って、どういうタイミングでどういう風に選べばいいんですか?という質問を受けたので、これについても書いてみたいと思います。
具体名は書けませんが、参考になればと思います。

【どういう時にコンサルを利用する?
いろんなシーンが考えられますが、一番多いのは
・コンサルが得意とするようなシステムを導入するとき
です。

例えばSalesforceなど、使いこなせれば効果は大きいが、その使いこなしがとても難しく、いわゆる普通のアプリ感覚で導入しても、なかなか使いこなせないような製品などがそれに該当します。
また、このような巨大IT企業が提供しているようなサービスは、その企業自身が直接売ったり、導入したりすることはあまりなく、基本的にパートナー企業と言われる企業を間に挟んで導入することが多く、そのパートナー企業になっているのがコンサルティングファームだったりするので、導入したければ結果的にコンサルを経由することになります。

他にはプロジェクトをリードする人間が自社の人間にいない場合
そのサポート役として雇うこともありますし、
業務改善をする際に、自社以外の目線のチェックを入れたい場合など
いわゆる「べき論」を現行業務にぶつけたいとき等などに契約することもあります。

【どういう形で利用する?
プロジェクトによって形態はさまざまになりますが
基本的にはチームとして契約することが多いと思います。
Sierであれば、技術力を提供してもらうという事で、1人とか2人と契約して常駐してもらうというようなことはありますが、コンサルではあまりそういった契約を見たことはありません。

ここもSierとコンサルの違いが出ますが、コンサルはSierのように技術力を売るというような営業はしないからともいえます。
結果、チームの維持費だけで1月、1,000万円以上になることも珍しくありません。

契約期間はプロジェクト単位になるので、1年~3年ぐらいのケースが多いと思います。
それ以上となると、おそらくコンサルの使い方を誤っているので、諸々見直した方がいいかもしれないです。

【利用する基準は?
コンサルはコンサルというだけで単価が高いです。
ですので、その単価を払って導入しても効果が得られるという場合に契約することになります。

ただし、コンサルを雇ってまで導入しようとするシステムは、そのシステム自体の導入費用やランニングコストもかなり高いので、「システムを導入する」のが先に立ち、費用対効果が出ないプロジェクトをスタートしてしまい、5年経っても10年経ってもペイしない、ということにならないように、よく注意しなくてはいけません。

例えば、「CRM(顧客管理)といえばSalesforceでしょ!Salesforceを入れさえすれば、わが社の営業は見違えるほどよくなるはず!」という思いだけで導入してしまうと大変な損をすることがあります。
機能がありすぎて自社が導入しても使い切れない、使う必要がない機能が多すぎるといった状況になった場合、もっとリーズナブルで身の丈に合ったものを導入しておけば、営業の人間も機能が絞られて使いやすいし、導入費用も安く済んだのに・・・となってしまったりします。
ITとかシステムとか呼ばれるものは、あくまでツール
ですので、導入することが目的となることは、極めて限定的な状況以外にはありえないので、そこをはき違えないようにする必要があります。
コンサルを使ってまで導入する必要があるシステムかどうか?そもそも自分たちに必要な機能などういうものなのか?というものを定量的、定性的な側面でよく分析した上で、導入を決めなくてはいけません。

【どこのコンサルを選んだらいい?
これはすごくよく聞かれますが、
結論を言うと、どこのコンサルティングファームが正解という答えはありません。

一つのコンサルティングファームの中でも当たり外れが非常にある為、この会社がダメ、あの会社がいいという事では判断しにくいのが実態です。社内SEでも優秀な人、そうでない人とあるようにコンサルにも当然同じことが言えます。

そして、その裏返しとしてコンサルという肩書の人はみんな優秀、というのは都市伝説という事も弁えておきましょう。
煮ても焼いても・・・みたいな人は確実に混ざっています。
そして、決してそういった人がマイノリティというわけでもありません。

また、よくある話として、
各コンサルティングファームごとに得意な領域がある
など言われたりしますが、そこもあまり気にする必要はありません。
得意な領域があるというより、取り扱っている製品がそれぞれ決まっているので
何かシステムを導入しようと思った時に、その製品を取り扱っているコンサルはどこ?という要素だけで、ある程度数は絞られます。
よって、無数にあるコンサルティングファームから、どこを選べばいいかわからない
という状況にはならないからです。
コンサルありきで製品を選ぶことはないはずですので、導入する製品を選んだ時点である程度、ふるいにはかけられるという事ですね。

では、優秀なコンサルはどこに隠れているのか?ですが、
唯一かつ確実なのは信頼できる人に紹介してもらうということになります。
コンサルは単価が高い分、費用対効果の薄い人間が入ってきてしまうと、それだけで会社にダメージということになりかねません。しかも会話に専門用語を混ぜるのが好き(煙に巻く為にやっているという事も実際にあります。)なので、費用対効果が薄いということを判断しにくいというのもあります。

なので、自身でコンサルの良し悪しが判断できない。もしくは判断できる社内SEがいないという場合は、信頼のできる人に紹介してもらう。
これが一番です。

また、どのコンサルがよいというのは一概に言えないと書きましたが
それでも各会社ごとの「色」というのはあります。
・このコンサルは業務改善に強い。
・この業界に強い。
・プロジェクト管理は苦手。
とかですね。
これは、コンサルに限った話ではありませんが、会社毎に教育方針や文化というものはありますので、その会社の色に染まっていく過程で、優秀であるなしに関わらず、大きな方向性というものは社員に現れてきます。
例えばプロジェクト管理経験の乏しいメンバーばかりの場合、新入社員はその人たちに育てられるのですから、全体的にコンサルっぽい人間は育つけど、プロジェクト管理がうまい人間は突然変異的にしか出てこないという事はわかると思いますし、会社が取ってくる契約がPMO案件ばかりなどという場合は、どうしてもみんなPMO的な思考に染まっていくという事ですね。
それが発注する側の会社の文化と合う合わないはあると思います。

そして実際に
費用対効果の薄いコンサルを引いてしまった。
価値観の合わないコンサルと契約してしまった。
という場合の被害を最小限にするのが社内SEという存在になります。

外れのコンサルを引いてしまうと、その被害を0にはできませんが、可能な限り小さくすることができるのは自社のSEしかいませんので、そういう意味でも「コンサルってどういう人達?Sierってどういう人達?」という事をきちんと理解できて、対処できる人間が社内に必要になります。

まとめると、
コンサルティングファームを使う状況や、使い基準というのはある程度明確になるけれども、費用対効果の高いコンサルと契約を結ぶのは難易度が高く、これといった決まった基準値などはないというのがわかると思います。
ただ、コンサルを使うという状況は多かれ少なかれ、IT活用という意味では必ず出てきますので、上記を踏まえて人脈を広げるであったり、優秀な社内SEを抱え込むというようなアクションは事前に取っておくのが大事だと思います。

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