ITの責任者にITを知らない人を起用してはダメな理由

一昔前ならいざ知らず、だいぶ当たり前といえば当たり前になってきた話題ではありますが
いわゆる伝統的な内資系事業会社では、いまだに起きていることだったりするので
改めて書いてみます。

なぜダメなのか?の理由の代表的なものを書いておくと
A.ITプロジェクトは建設業界のような重層下請構造になることが多い為、勝手がわからないとコントロールしにくい構造になっている
B.ITと一口にいても分野が広すぎるので、なにかしらの専門分野やバックボーンがないと、コストに関するアタリがつけられない
C.会社のIT化が進まなくなる
この3つかなと思います。

この3つをもとに様々な影響が派生してくると思っていて、
例えば、
A.のケースですと
・単純にプロジェクトが失敗する
・立ち上げ時点で無理筋なプロジェクトを承認してしまう
とかです。
B.のケースですと
・妥当なコストなのにも関わらず、「高すぎる」と判断して、ベンダーを切ってしまい、運用が立ちいかなくなる
またその逆もしかりです。

今回は特にC.について、言及してみます。
・会社のIT化が進まなくなる
とは
・IT技術者が定着しない
と言っていいと思います。

そして、IT業界は他の業界に比べて転職のハードルが低い業界です。
これもだいぶ認知されてきた事実だと思います。
理由はいくつかあると思いますが
・IT技術者の絶対数の少なさ
からくる
・年収の上昇
・市場にあるポジションの多さ
・競争にさらされることによる技術者本人の危機意識の高さからくる、技術への貪欲さ
などが相まって
IT技術者の転職枠(需要の多さ)と本人のスキルアップの意思が、旨くかみ合って
転職へのハードルが下がり、なおかつ技術者も転職していくことになります。

そして、競争にさらされる中で、転職に臨もうとするIT技術者は
・一定以上、自分の実力に自負がある人
だったりします。
(あと、競争につかれて嫌になった人も一定数います(笑))
この自負が妥当なものか?自意識過剰なものなのか?
はさておいて、こういうある種のプライドを持った人たちが転職先に求めるものは
・自分に対する妥当な評価
・自分にふさわしい仕事

こういった点を求めます。
(繰り返しますが、妥当な評価が市場の評価であるかどうかは、ここではさておきます。)

そしてこれがある程度満たされないと
そもそも内定を出しても逃げられてしまいますし
入社しても長居してくれなかったりします。

そして技術者が定着しないと
会社としてのIT化は進まない
となるわけです。

そして、
誰を採用するか?≒どういう評価を下すか?
会社のITについての方針を定める≒自分にふさわしい仕事

を決めるのは会社のITの責任者(CIO)なわけです。

なので、CIOとなる人が何かしらのITのバックボーンがない場合
まず、
・評価が定まらない
そのことにより
・他にその人が欲しいと思っている企業に比べて低い評価を出してしまい、あっさりとられてしまう
入社しても
・「この人わかってないな」と舐められるもしくは「ここでは大した仕事できないな」となり、辞められてしまう
ということにつながるわけです。

もちろん、CIOが出てくるような面接は最終面接なので
それまでに現場の管理職やITのバックボーンがある人が面接してるから
大丈夫でしょ?
というケースもありますが、これが通るのは
CIOがそれまでの現場の判断を信用している場合です。
もし、それまでの面接で現場が「この人はいい!」と判断しても
最後の最後でCIOがちゃぶ台をひっくり返すようなことをしてしまうと
相当な確率で逃げられてしまいます。
IT技術者は内部政治に巻き込まれることも多いので
現場と責任者の目線があっていない会社を嫌う人が多いからです。

もちろん、ITのバックボーンがない人でも
その人の人徳やコミュニケーション能力でこなしてしまう人も稀にいますが
かといって、その人が自分の畑違いのITの判断をする材料はその部下が出してくるわけです。
ではその部下を責任者が過たず選び続けられるか?というと
その可能性は著しく低いと言わざるを得ないと思います。
人選を間違えてしまえば
人の評価もズレますし
会社のITの方針を定める上でもブレがでてしまいます。
そして、自身がITのバックボーンを持っていないと
そのズレに気付けない、もしくは気づいても修正できない
となってしまいます。

となるとやはり、ITの責任者に畑違いの人を割り当ててはいけないわけです。
どうせするのであれば、社内のITの役職者の中で経営に関して興味・適性のある人間を抜擢する。
いないのであれば、よそから持ってくる
というまさにジョブ型人材雇用の考え方を
IT人材については行っていく必要があると思います。

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