システムの持ち主って誰?

システムの持ち主は情報システム部門ではないです。

という事を、今更ながらユーザーに語ることは、まだまだあります。

システムの管理者は情報システム部門であるのは当たり前ですが
システムの持ち主も情報システム部門だと思っている人は意外と多いです。

これって、よく考えると変な話です。
システムをもっと別のものに置き換えてみると
例えば、職場でホッチキスが必要になったとして、それを総務部門などにお願いして購入してもらったとします。
で、職場でバシバシ使うのですが、このホッチキスを総務の持ち物だという人は少ないのではないでしょうか?

これはホッチキスのお金を自分の部署で出しているという前提ですが
逆に、総務の予算で買っていた場合、使い終わる度に総務に返却する
という運用をすることになっていると思います。

総務としても、自分の予算で買っているものを
「買うたびにどこかに消えてなくなるんですよねぇ・・・。という事で追加のホッチキス買います」
なんて言ったら怒られるので、きちんと管理しようとするはずです。

にもかかわらず、こういった話がシステムに置き換わると、
突然持ち主が自分たちではなくなる
というのは
非常に興味深い現象です。

おそらくはシステムが「なんだかよくわからないもの」といまだに思われているから
という点も多分にあるのだと思いますが、
システムを導入する場合、その予算を情報システム部門で持つことっていうのはあまりないと思います。
(たまにありますが・・・)
となると、お金を出してるのも自分、使うのも自分、けど持ち主は他の部門
という謎理論をたてていることになります。

特に自分でお金出してるのにという所のポイントは高いと思っていて
自分でお金出してるのに、持ち主は他の部門って理不尽ですよね?

この主管部門よくわかってない問題は放置しておくと
何が問題かというと、一言でいうと

・システムがよくならない
・会社のインフラを担当する情報システム部門とシナジーを生み出せなくなる

です。

ユーザー部門からすれば自分たちが主体と思っていないので

・積極的にシステムを良くしようという思いが薄い
・そのうち誰かが何とかしてくれるだろうという他力本願な思いにとらわれる
・結果、なんともならないので使い勝手の悪いシステムにフラストレーションがたまる
使い勝手は悪くなくても、現状維持の思いばかりが強くなり、新しい仕事の仕方に適応できなくなる

など、システムに対して全面的に受け身になります。
しかし受け身の人に積極的にアプローチをかけてくれるボランティアは社内にはいないのでどんどん、時代に取り残されて行きます。

情報システム部門にしても、自分たちの持ち物でないために勝手に触るわけにもいかないので

・ユーザーが何も言ってこないので、見に入る
・何か提案しても面倒くさがられる。そんなの良しなにやってくれよという態度を取られるので、
モチベーションも下がり、何かしてあげようなどと思わなくなるわけです。
・自身の社内における存在意義を乱せなくなる

というようなことになるわけです。

ちなみにありえないことですが
本当に情報システム部門がシステムの持ち主である会社があった場合、
実際に使っているユーザー部門に伺いを立てずにシステムの仕様を変えることが可能になります。
情報システム部門が自分たちの持ち物を自分たちの意志で変更するわけですから、
ユーザーから文句を言われる筋合いはないはずですよね?(極論ですが)

ある日突然、帳票のレイアウトが変わった
など在ってはいけない話ですが、
「システムの持ち主は情報システム部門です。私たちではありません。」
という主張は、この事態を容認していることに他なりません。

なので、もし情報システム部門がシステムの持ち主です
と本当になっている会社があった場合、(そう思い込んでいるだけでありえない話だと思いますが・・・)
ユーザーは一刻も早く、その主導権を自分たちに取り戻さなくてはいけません。
これはそんなに難しくないはずです。
「そもそも金を出したのは現場でしょうよ」
と言えばいいですし、そうでなかったとしても
「実際に使っているのはユーザーなんだから、主体は現場にしてもらわないと困る
 それとも情報システム部は現場の仕事に精通しているとでも?」
と言えば通るはず。
勿論、権利には責任も伴いますので、システムの主導権を握ったら
今度はそれに伴う責任も果たさなくてはいけませんが・・・。

ただ、本当はシステムの主管部門はユーザー部門のはずです。
大体の会社ではそういう整理になっているはずです。

だから、ユーザー部門はシステムの主管部門が自分たちであるという事をきちんと認識し
業務に課題があれば、情報システム部門を巻き込んで
あれがしたいとか、あれはできないのか?とか
情報システム部門を使い倒すことを意識するべきです。
どうせ使っても使わなくても、情報システム部門はそこにいるのですから使わなければ損です。

そして、使い倒しているうちに、システムに対する苦手意識も消え
ITリテラシーも向上し、より楽に仕事ができるようになるはずです。

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