BCPについて

自然災害やテロのやまない昨今、もはやこれを気にしていない企業の方が少なくなってきたかもしれませんが、今回の記事で書いておきたいのは結構ミクロな話です。

ちなみに

BCP

事業継続計画のこと。
テロや災害、危機的状況下に置かれた場合でも、重要な業務が継続できる方策を用意し、生き延びられるようにしておくための計画

です。

BCPを大きな話で言うと
サーバーがオンプレミスで構成されているので、クラウド化しましょう
とか
A工場の製造品をいざという時はB工場でも作れるようにしておきましょう
とか
そういう話です。

今ですと、コロナで営業もままならない状況において
どれだけキャッシュを手元に残しているか?
もBCPの話になりますが、今回は人の話に焦点をあてたいと思います。

人の話でBCPというと、安否確認システムなどを導入して
いざという時に、従業員と連絡を取れるようにしたり、避難訓練を施したり
というのが代表的なものですね。
昔、所属した会社では
勤務先から歩いて家まで帰るにはどういうルートになるか実際にやってみる
という訓練もやっていました。

が、今回の記事ではさらに細かく身近な話です。

あるメーカーの非常に重要な部品を作っている部門があるとします。
この部品は非常に繊細でシステム化できず、長年の経験を持つ職人にしか作れない状況でした。
習得にも非常に時間がかかる為、後任も育たず、現担当も高齢化が進んでいるような状況です。

これもBCP対策できていないと言えると思います。
BCPで謳われる「重要な業務」が何か?という所は難しいところで
会社にある重要な業務すべてに対策を施そうとすると、恐ろしくコストが膨らんでしまって、極端な話、BCP対策のせいで経営を圧迫なんてことも起こりえます。

なので、ランク付けをして順に対策を打っていくわけですが
主にこういったBCP対策は偉い人達が決めるので
どうしても目線がマクロになりがちです。

しかし、上に書いたような属人化がBCPを揺るがす状況になっている職場というのは意外と世の中にあると思っています。

「部長・・・・・山田さん、会社辞めるそうです」
「へぇ、そうなんだ。長い事勤めていただいたのに残念だね。」
「いや、それどころじゃないです。山田さんの後任がいないんです。」
「そうなの?じゃあ引継ぎの時間を取ってもらえば?」
「いや、山田さんの技術を引き継ごうと思ったら1,2か月じゃ無理ですよ」
「引き継げないとどうなるの?」
「うちの主力製品のAとBの生産能力が深刻なレベルで落ちます。」
「は!?なんで?今までどうして後任育てなかったんだよ!」
「だって、部長が育成なんてお金を生まないんだから、そこに時間かけるんじゃないっていうから・・」

みたいな会話。起こりそうだし、実際起こった現場に立ち会った人もいるんじゃないでしょうか?
私はあります(笑)

残念ながら会社の偉い人は、勤続30年の山田さんがいないとあの職場は回りませんなんてことはわかりません。
駆け出しのころに山田さんに大変お世話になった。今の俺がいるのは山田さんのおかげだ
なんていうエピソードがあればわかりませんが、そんな奇跡は中々ないでしょうし、あったとしても偉くなっていく過程でどうしても忘れがちです。

勿論、偉い人は物事をマクロでみるのが仕事なので、それで問題ないのですが、
マクロな視点だけでBCPを考えると、思わぬところで足元をすくわれるという事だと思っています。

なので、BCPを考えようと思ったら必ず
トップダウンだけではなく、ボトムアップでも洗い出しをするべきだと思います。
その上で、そのダメージの深刻さを考えてランク付けしないと
システムや工場の対策をとって一安心と思っていたら、
その工場を回す主戦力がいなくなるなんてことが起こりうるわけです。

属人化というのは、日本の企業で常々問題視されている事ではありますが
これに対して、真面目に取り組んでいる人を私はあまり見たことがありません。
メンバーシップ型雇用の弊害かもしれませんが、
みんな「Aさんいなくなったらどうするんだろう・・・。」みたいに思ってたりしても
上の人は気が付いていないし、下の人間は何ともできないし
気が付けば厚待遇で引き抜かれたり、ケガや病気で長期欠勤になったり
そんなことはいつ起こってもおかしくありません。
むしろ天災やテロが起きるよりも、発生する可能性は高いように思えてなりません。

しかし上に書いたように、BCP対策を講じるにしても問題が見えなければ対策を打てません。
しかし黙っていてもわざわざボトムアップで上げてくれる人もいないわけですから
BCP対策を打つには、対策を打つべき問題を下からも上げてもらい、人に対するBCP対策を打つべきか、打たなくてもよいか?の判断の俎上にあげる。
これを絶対にしなくてはいけないと思います。

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