ジョブ型雇用って何?

コロナも収束するかと思いきや、新株が発見されたりなどで
なかなか落ち着きを見せませんね。

日本企業の中ではこのコロナ禍の中、
いわゆるニューノーマルをスタンダードに置き換えようとする企業
オールドノーマルに立ち返ろうとする企業
と、二極化の様相を見せていましたが、
もうオールドノーマルに立ち返るなんてことは許されなくなっているのかもしれません。

その表れの一つがタイトルにあるジョブ型雇用というものです。
給制度と言ったりもしますね。

ちゃんと説明し始めるとながーーーーーくなってしまうので、
端折ってしまいますが、
従来の日本の雇用は職給というものです。
これは平たく言うとその人の経験や知識に応じて給料を支払うというものです。
経験と知識は年齢に応じて、増えていくものでしょ?
という考えのもと、日本の年功序列にそのままつながったりします。

一方、職給は人ではなく、
その仕事に給料が付いてきます。
この仕事ができたら月給100万円という仕事がまずあって
そこにはまる人を探してきて、その人に100万払ってその仕事をやってもらう
という形です。

給は人
給は仕事(ポジション)
に報酬が紐ついていることになります。

そして、自社の未来に対して危機感を感じている企業は
その企業の規模感を問わず、このジョブ型雇用に切り替えようとしています。

ジョブ型雇用に切り替えると会社に取っていい事というのはいくつかあるのですが
ざっっっくりいうと以下の二つのメリットがあります。

・会社のやりたいことが出来るようになる。
・人を確保できるようになる

ジョブ型にすると何故、上記のメリットが得られるのか?というと
給におけるデメリットが解消されることというのがまずあります。
給ですと先に述べた通り、「経験と知識」が評価されるのですが
それがそのまま在籍年数に紐ついてしまうために、「ただ長く在籍している人」が出世したりするわけです。
誰もが経験したことがあると思いますが
「なんでアイツが?」
というような人が出世したり上司になったりするので、
社内の帰属意識はどうしても低下します。
つまり若手が辞めていきます。

しかも仕事が出来て簡単に転職ができる優秀な人間からやめていきます。

これがデメリットの一つ

もう一つ
高齢化が進む日本で、この経験と知識が豊富な人たちが、そのお題目通り本当に優秀なら
日本は優秀な人だらけになるので、とても心強いのですが
ご存じの通り、一概にそうとも言えず、しかし高給取りにはなっていくわけです。
つまり、

仕事はできないのに高給取りがどんどん増えていく
苦しくなった会社はリストラを敢行して、社会的信用を損ねる

という悪循環にはまってしまうわけです。

しかし、ジョブ型に切り替えると
人に報酬が紐つかず、ポジションに報酬が紐つくので
例えば、データサイエンティスト月給100万というポジションを会社が設定した場合
それができる人は年齢を問わず、100万円の月給を得られるわけです。
逆に、会社が設定した高給のポジション(つまり今会社が欲しいと思っている職)にマッチするスキルを持っていない
高齢者は今までの報酬を維持できなくなります。

こうすると会社としては、やりたいことに対して組織とポジションを設計して
そこに人をアサインしていけばいいので、
会社の有限の資源をやりたいことに集中できるようになるわけです。

そして市場価値の高いスキルのある人間は
年齢を問わず報酬を得られるようになるので、優秀な人間がいついてくれるようになり
会社全体の底力もアップしていく

という事につながるわけです。

これが最初に述べた

・会社のやりたいことが出来るようになる。
・人を確保できるようになる

という話になります。

ただ、勿論これがいいことばかりか?というと、そういう訳ではありません。
まずジョブ型雇用に切り替えるには既得権益を受けている人からするとリストラ勧告に近いものなので猛烈な反発が予想されるという事。
そして、ジョブ型を導入するという事は、戦略に沿った組織とポジション設計をしないといけないので、組織側にも相当な負荷を強いるという事。
見当違いの戦略を掲げたり、組織設計をしたりすると、それがそのままあらぬ方向へ会社を導いてしまうので、人事戦略=会社の戦略になります。
人事部が会社の心臓といってもいい存在になります。
また、容易に労働者を解雇できない日本の法律のもと、海外のジョブ型をそのまま導入はできないので
なんらかのハイブリッドなやり方を見つけないといけないという点も見逃せません。

このように導入するにも相当なハードルを越えなくてはいけないジョブ型雇用ですが
それでも一部の企業が敢行しようとしているのは
やはり、日本の労働人口が減っていくという目の前に突き付けられた現実に対応する為にはほかに手段がないという事
そして、こういう事は先にやった会社が独占できる
という事がわかっているからだと思います。

他の会社が次々とジョブ型雇用に切り替えて、
優秀な人材が次々とそちらに流れていった後に
ようやく「では、我々も・・・」なんて言っていたら
もう手元には何も残っていない
という事を理解している会社は、この試練に挑んでいる
そういう事だと思います。

コメント

このブログの人気の投稿

Stories 5話:今までの経緯を知らないまま、運用設計をする

社内のコミュニケーションを活性化!グループウェア導入のススメ

ITにどう向き合う?どう向き合ってもらう?