いきなり最先端を入れても誰もついてこれない

今まで社内SEとして働いてきて、これもあるあるの一つになるのですが、
DXとかIT推進とかでまず最初に手掛けられるのが紙の電子化です。

そして、いきなり
今ある帳票類は全部電子化!入力もタブレットを導入してそれで済ませる!
まで突っ走る上層部の人が多いのですが、大体失敗します。

で、その失敗を導入ベンダーのせいにしたり
自社の人間にはITは難しいと従業員のITリテラシーの低さのせいにしたり
というように結論付けちゃったりすることがあるのですが、
これは大きな誤りですし、そんなことを繰り返していると、
いつまで経っても、IT推進できません。

気持ちはわかるのですが、これはこの間までミニカーで遊んでいた子供にいきなり業務用ドローンを渡して

こっちの方が絶対面白いからやってみ?

なんで出来ないの?

ラジコンとか向いてないのかもね!

みたいな論調で迫るのと変わりません。

世の中にドローンというものがあるから、ドローンを導入しよう
という発想が許されるのは、今までにIT投資を継続的にしてきていて、
ラジコンヘリコプターまで導入済み
というような会社です。
でないとハードルが高すぎて、お金をどぶに捨てることになります。

それにそもそもドローンを導入したら自社の問題解決が図れるか?
という点をしっかり検討せずに、ドローンありきで導入を検討しているようなことが多いので
よしんば使えたとしても、それによって何が解決できたのか、なんかよくわからない
みたいなことになることもあります。

IT投資を行うという事は、当然そこに問題があるからやろうとしているわけで
その問題を解決するためにはそれ相応の手段をもってあたるべきです。
例えば、DIYを始めようとしたとします。

①【課題】素材に穴を開けるのが大変
 →【解決】電動ドライバーを購入
②【課題】硬い素材を取り使うので、今までの電動ドライバーでは穴があけられない
 →【解決】インパクトドライバーを購入
③【課題】断面が荒いので、組み立てたときにがたつく
 →【解決】鉋を購入

というように徐々に課題自体も難易度が上がり、解決策も上級者向けになっていくものです。
しかし、何故かIT投資となると、
素材に穴を開けるのが困っているのに、鉋を購入しようとしがちです。
そして、鉋を購入しても当然、穴を開けること自体は解決しないので
効果が出ないなぁ
と首を傾げたりするわけです。

道具ありきではなく、課題ありきで考えるという基本的な所に立ち返る必要があります。
ITは万能アイテムではなく、あくまでただの道具であるという事をちゃんと理解して
その使い方を考えないといけません。

ドラえもんの道具のようにはいかないので、
もどかしいとは思いますが、一つ一つステップを踏んでいかないといけないという事を
しっかり意識する必要があります。

冒頭で申し上げた帳票電子化で言うと
タブレットでの入力は慣れないととってもハードルが高いです。
なにしろ紙に比べて小さいですし、ピンチアウトなどの操作性も
紙に比べれば圧倒的に劣りますし、古い人からすると作業効率が下がったりします。
特に工場の現場などは比較的高齢な人もいたりするので、余計デメリットが目立つことになりがちです。
何故かそれを一番理解している経営者が、その実態には目をつぶっって
タブレット導入!
と踏み切ろうとしたりします。

ただでもITに対してアレルギーがありそうな人達に対して
そういうアプローチをすると拒絶反応が出たりしますし、
問題解決にもなっていなければ混乱を招くだけの無駄でしかありません。

まずは
・今ある紙を減らして、その過去情報を検索できるようにする
これだけでも相当な効果があるはずです。
タブレットという形でいきなり導入するんじゃなくて、
・現場においてある共有PCで、今の紙に近い形のエクセルで入力できるようにする
こういうのも効果的です。

そして、現場に有効性を理解してもらったり、
ITに慣れてもらった後に、次の課題に取り組むなど
してもらえば、順次効果を実感できるはず。

いわゆるITベンダーはDXの名のもとに、ドローンを購入させようとしてきますが
そういう場合は必ず、社内のSEの意見を聞きましょう。
もしいなければ、信用できるシステム屋さんにアドバイスを求めてみましょう。
それもいなければ、私に質問していただいても大丈夫です。
ITはうまく使えばとても効果が出ますが、気を付けないと本当に無駄遣いをするだけで終わってしまうので
本当にそれが自社の問題解決につながるのか?を知見者を交えて判断するようにしましょう。

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