システムの運用保守の難しさ:導入直後

過去の記事に書きましたが
【あわせて読みたい】
システムの運用保守の難しさ:初めに
システムは導入だけではなく、運用保守も非常に大事な仕事です。
システム導入後、運用保守として
最初に直面する問題は、導入直後に起こります。

その代表的な問題は
・導入メンバー離脱によるノウハウの喪失
・保守を意識していないシステム構築による運用手法の再構築
等が挙げられるのですが、
システム導入しかやっていない人にとっては、運用保守の難しさがわかると思いますし、導入チームが本来意識しないといけないこと、自分たちで予測出来ないのであれば運用チームを巻き込まないといけないことが意識できると思います。
また、運用保守しかやっていない人にとっては、何故自分たちのタスクがこんなに難解になっているのか?の気づきになると思います。

まず、一つ目の
・導入メンバー離脱によるノウハウの喪失
これは凄くわかりやすいですね。

大体どこの会社もシステム導入にはある程度お金をかけますが
導入したら、突然予算をギューーーーっとしぼり始めます。
その為、導入に携わったメンバーは大幅に削り取られ、
稼働後に動いている機能のそもそもの目的であったり、機能の詳細が不明確になってしまったりすることが起こります。

勿論、導入と同じだけのコストをかけ続けると
いつまでたっても効果を享受できなくなるので、ある程度抑えていくのは必要なのですが、それにしてもよく考えて、リソースを調整していかないと、
きちんと引継ぎが出来ず、導入の時に考えていた仕様や目的が伝わらないまま
追加改修されてしまい、当初の目的を果たせなくなってしまったりしまいます。

システムに本来の目的に見合った成果を出してもらいたければ、
・導入が終わったからメンバーを削る
という単純な発想で調整をかけることは相当危険です。

そもそも導入が終わるとメンバーを引きはがすというのは
会社の中で導入ができる人と保守ができる人
と区別しているからだと思うのですが、この発想がそもそも間違っています。

この後にも述べますが、
運用保守を意識しないで導入を行うと、ランニングコストがかかってしょうがないシステムが出来上がってしまいます。
コンサルタントやSIerであれば、導入の事だけ考えればいいですが
社内SEであれば、どちらも考えれる人を育てないとダメです。
なので、人をアサインする側も導入が無事に終わったら、少なくともそのメンバーの中から運用保守のメンバーを選び、1年はさせるべきです。
そこまですれば、きちんとしたシステム設計のできる人材の土台が育つはずです。

そして次の
保守を意識していないシステム構築による運用手法の再構築
ですが、これはリソース問題よりも更に深刻な問題を招きます。

どういう状況を言っているかというと
導入チームが後の保守の事を考えてシステム設計をしていないが為に
実際に運用を始めようとしたら、それに耐えられず
運用チームがシステムに対して、保守方法を再検討し
実運用に耐えられるように設計しなおすという事態が発生することを言います。

具体的に言うと
・更新が頻繁に行われるデータベースに対して、容易に更新できるような作りになっていないために、メンテナンス工数が非常にかかってしまう。
・障害発生時に、本番のデータを直接修正するしかリカバリー手段がないために、障害発生の度に稟議申請が必要になってしまい、実運用とスピード感が全く合わない
などがあります。

こういった事態が起きると運用保守チームは、これらの根本解決を図るために、
稼働後のデータベースに手を加えたり、なんとか運用に乗せるために、歪な更新手順を設計したりする必要が出てしまいます。
そういったことをすると、担当が変わる度に
「どうして、こんな無駄に煩雑なつくりになっているのか?」
という話題が立ち上がることになりますし、
一度歪な(煩雑な)運用にしてしまうと、その運用に変更が入ると
煩雑の上に煩雑を重ねてしまい、どんどん保守工数が積みあがってしまっていったりします。

こういったことが起こる為、そもそもシステム導入には導入チームなどといった専門家集団を作るのは得策ではないのですが、上に述べたように、システム導入を手掛けたチームは、導入が終わると次の導入へ移っていき、保守についての理解が進まないままキャリアを積み上げてしまいがちです。

この代表的な存在としてコンサルティングファームがあげられます。
コンサルティングファームがやるのはシステム導入です。
しかし、上に述べたようにシステム導入はその後の運用保守を大前提として設計しないといけません。
にも拘わらず、何故か導入を全面的に外部のコンサルティングファームに任せてしまったりすることが多いのですが、忘れてはならないのが、コンサルティングファームというのはその仕事の性質上、運用保守に関しては素人であるという事実です。

その為、せめてシステム導入に携わる社内SEはちゃんと運用保守の難しさが理解しているメンバーがアサインされなくてはいけません。
そしてカットオーバーの事だけ考えた協力会社(コンサル、SIer)の主張を吟味し、是正しなくてはいけません。
でないと、上記したような事態が起こり、せっかく導入したのに
非常に保守性の低いシステムになってしまい、いつまでたっても保守コストがかかり続けるという事態を招きます。

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