システムの運用保守の難しさ:初めに

システムの運用保守って、難しい割に評価されにくい仕事だ
と、思っている社内SEは多いかと思います。

その思いは間違っていません。

ともすればシステム導入ばかり脚光が当たって
その後の運用保守は「できて当たり前」みたいな空気も流れがちですし
運用保守のフェーズに入った途端、リソースを必要以上に削り取られることも多々あります。
転職するときにも

運用保守しかやっていないんですか?

みたいにいう人もいますが、これは素人感がまるだしになるので、口にしない方がいいです。
逆に「この人経験少ないんだなぁ」と思われてしまいます。

経営者側によく考えてもらいたいのは
システムって導入期間よりも運用保守している期間の方が圧倒的に長いという事です。
経営に与えるインパクトも、導入チームよりも、運用保守チームの方が大きいことが忘れられがちです。
システム導入におけるプロジェクトリーディングも大変難しい仕事ですが
運用保守におけるチームリーディングも質が違うだけで、同等に難しい仕事であるという事を理解するべきだと思います。

システムを導入するまでがコストで、運用に入ってから効果を刈り取るフェーズという考え自体は間違っていませんが、刈り取りの時期に入ったら、コストが圧倒的に安くなるかというと実はそんなことは決してありません。
それは
お店をオープンしたら、あとはお金が自動で入ってくる
と考えているのとほぼ同義です。
お店をオープンしたら、むしろそれからが本番、商品を仕入れたり、宣伝をしたり、軌道に乗せるまでにもコストがかかるし、軌道に乗った後もコストは掛かり続けます。
これと同じことがシステムにも言えますので、そこは経営側にもぜひ理解をしておいてもらいたいところです。

さて、運用保守における難しさというのは様々なのですが、ぱっと思いつくものでも
システム導入直後の難しさ
・導入メンバー離脱によるノウハウの喪失
・保守を意識していないシステム構築による運用手法の再構築
運用保守していく中での大規模案件との保守コントロール
・保守における改修と大規模案件による改修内容の整合性の担保
システム切り替えの際の新システムへの移行作業
・新システムを理解した上での、移行データの作成
などが挙げられます。

どれも表に出にくいですし、訴えても何故か「泣き言」という風に取られがちなのですが、
これらの作業の難解さについて、経営側や上司がちゃんと理解していないと、
適切な対処を打てず、ものによっては経営に直接的なダメージを与えますし、導入したシステム自体はいいものだったのに、運用がうまく行かず、使いこなせないまま別のシステムに乗り換えることになり、また数千万、数億円使う・・・といった事態を招きかねない問題です。

せっかく導入したシステムの評価を正しくするためにも、運用保守を正しく行うという事はしっかり考えなくてはいけません。

私はシステム導入も運用保守もどちらもそれなりの数をこなしてきたので
よくわかりますが、本当にどちらも難しい仕事で甲乙つけがたい仕事です。
そこで日の目を見なくなりがちな運用保守の難しさ、大切さについて、
何回かに分けて書いていってみようと思います。

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