システム開発の内製化について その2

企業のシステム開発の内製化はあまり現実的ではないのでは?
ということについては別記事で書いていますが、

今回はその第2弾です。

その1では内製化はコスト削減にはならない(と思う)
という点について書きましたが、
この記事では

内製化してしまうと、最新IT技術のキャッチアップが難しい

という点を書きたいと思います。

まず、内製化の目的ですが、IT関連のプロジェクトの全て、ないし大部分を社内で賄いたいということがあると思います。
その思いの中には当然、プロジェクトで最新技術を利用したいというものもあると思います。

しかしながら、IT技術の進化・変化のスピードは、とても速く
目まぐるしく移り変わる技術を追いかけるのは大変の労苦を伴います。

スマホでも使っている方が多いであろうクラウド技術
Netflixでもおなじみのサブスクリプションなど
いまやすっかり当たり前の技術として定着しつつありますが
少し前まではこんな技術が、ここまで普及するなんて、誰も夢にも思ってなかったと思います。

では、その技術革新のスピードの速さと社内SEではそれを追いかけられないという事実がどう相反するのか?ということですが、それを語る前にまず社内SEの本分を整理したいと思います。

社内のSEに求められている役割は様々ありますが、

IT初心者であるユーザーとIT専門知識の橋渡しの役割

というものがあります。

社内SEはただでもわかりづらいITの話を素人であるユーザーに
メリット・デメリットを説明して、効果の最大化を図ったり、
リスクの最小化を図らないといけません。
そんな社内SEに必要な知識はIT知識よりも、むしろ自社の業務知識です。
自社の業務が何をしていて、どこに問題があり、どうアプローチしたら問題解決に有効かを考えなくてはいけないので、なによりも業務知識が最優先です。

必要最低限のIT知識はある前提で、最新技術は・・・という意味です。

この役割に「技術革新のスピードに追い付かなくてはいけない
という役割を社内SEに課すと、社内SEは自社で起こっている課題や業務について精通しつつ、なおかつ自社の外で起きている技術革新も追いかけるということをしなくてはならなくなります。
これは例えていうと、

工場で製造を請け負っている人が、新商品開発も兼務で行っているようなものです。

これがかなり困難なミッションであることは、なんとなくてもわかってもらえると思います。

しかし実はITの世界ではこの相反する二つの要求を満たす方法が一つあります。
・自社の既存課題や、新しい課題をとらえて、自社にマッチした方法で解決策を編み出す
・最新のIT技術(ツール)を追いかける
後者はお金で買うことが可能です。

最新技術を追いかけているベンダーは外の世界にいるので、彼らから仕入れることで、自社にない新しい技術を取り込むことが可能です。
一方、前者はお金で買うことはできません。
自社の業務に精通したSEと言う存在を外の世界に任せてしまってはいけないからです。
それが何故か?というのはまた後日記事で書くかもしれませんが、
少なくとも、前者をお金で買おうとすると様々なデメリットが発生します。

だからといって、両方とも自前で何とかしようとする。
つまり内製化でどちらも追いかけようとすると、IT部門の中に
・最新技術を追いかける部隊と
・業務に入り込んで課題解決を図る部隊
の二つを抱えないといけなくなり、固定費の増大は避けられず、下手すればITベンダーみたいになってしまい、本業はどっちなの?みたいな状況になってしまいます。

ここまでに書いた通り、社内SEに最新技術まで追いかけさせることは現実的ではない為
ここでも内製化のメリットが薄いという話につながるわけです。

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