ブラックボックスを怖いと感じれるか?

 結果的にですが、社内における重要性が高まったことで

社内SEはいろんなことを求められます。
その中で最も重要なものがコミュニケーション能力であるというのは
既に書いていますが、
社内SEに必要な能力:コミュニケーション能力

他にも様々な能力が求められます。
その中にはいわゆるシステム屋さんとしてベタな
プログラミングの力も当然ながら必要です。
ただ、ここでは
プログラミング能力を身に着けてガシガシシステムを作りましょう
というつもりはありません。
というか個人的には内製化(システム開発を自社の社員で行う。またはそういう体制を組む)については反対です。
それが何故かという話は別の機会にするとして、

システム開発をしない(内製化しない)と言っているのに、
なぜプログラミング能力(経験)が必要なのか?

という点について書きたいと思います。

プログラミングができると色々と良いことはあるんですが、
その全てを一記事では書ききれないので、この記事では
・ブラックボックスを怖いと感じれるようになる
という点について書きたいと思います。

ちなみにブラックボックスとは

どういう動きをするシステムか?ということは動きを見て何となくわかっているが、中でどういうプログラムがどういう意図を持って動いているかはよくわかっていない状態。

ということです。
具体的に言うと

こんな感じで入力Aに1、入力Bに2を入力すると答えのところに3が出る
というシステムがあったとします。
パッと見、入力Aと入力Bの値を足し算した結果が答えの欄に表示されるシステム
という風に見えます。
しかし、実際に中で行われている処理は
(入力A×100-入力A×99)+(入力B×100-入力B×99)=答え
という処理かもしれません。
中の処理を見る能力がなければ、この裏付けを取ることはできません。
このように
仕様の裏付けを取ることができないけど、見かけの動きで動作を予想している状態
これをブラックボックス化しているといいます。
(すごく端的に話してます。)

ここで
「ふーん、結果は同じなんだからいいじゃないか」
と考えるか
「ん?なんでこんな無駄なことやってるの?」
と考えるか
これが社内SEとしてのクオリティを分ける大きなポイントです。

意外と忘れられがちなのですが
システムというのはシステム屋さんが勝手に作っているわけではなく
業務の人の思いを汲み取ってシステム屋が作っているものです。
注文住宅を作ろうとしているのに施主を無視して
建設業者が勝手に家を建てるようなことはないのと同じですね。
なので、一見無駄に見える動作も何かしらの意味を持っていると思うほうが自然です。

上記の例でいうと、入力AとBをわざわざ100倍にして、もう一回引き算している
というのは何かしらの業務要件が潜んでいることが大半で
これを知らずに、勝手に中身の処理を変えたりしてしまうと、そもそもの要件が失われてしまい、本来意図したものとは違う動きをしてしまうというようなことがあり得ます。

このようにブラックボックス化している状態を「怖い」と感じれるかどうか?
というのはとっても大事で
社内SEの働きっぷりというか、
仕事での動き方にも非常に大きな影響をもたらす要素になります。
ざっくりいうと、仕事をする上で
・なんだかよくわからないけど、まぁいいか
という動きに抵抗感を感じるようになります。

この思考は社内SEとして、ユーザーにヒアリングしている時に
「うーーーん、言ってることはわかるんだけど
なーんか引っかかるなぁ」
という状態になった時に(非常によくあります)
・もう一歩踏み込んでヒアリングできるか?
・「まぁいいか。大丈夫だろう」と諦めるか
の分岐的になります。
社内SEをやっていると、様々な社内の人とコミュニケートしていくことになりますが
その中には
・気難しい人
・普通に怖い人
など、攻略が難しい人もたくさん出てきます。

そんな人たちを相手にした時に、ブラックボックスが怖いと思う気持ちがないと
「まぁ、いいか。この人めんどくさいし」というほうに流れやすくなってしまいます。
SEだって人ですから当たり前の心理ですよね。
しかし、良い社内SE足らんとするのであれば、この選択はありません。
もう一歩踏み込んでいかないといけないのですが
その為の支え(動機)として、

ブラックボックスの怖さ > コミュニケーションの面倒さ

こういった図式が必要になってくるわけです。
これができるSEとできないSEは仕事のクオリティも違いますし、
端的には納期を守れるSEか?という点にも直結してきます。

プログラミングをすることができて、実際にその経験があると
・ブラックボックス化したシステムは何をしでかすかわからない
という経験を何度かすることになるので、
「ブラックボックス化している」という状況に嫌な気配を感じ取れるようになります。
それが社内SEとして仕事をしていく上で、とても大事な感性になっていく
そういうお話でした。

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