久しぶりにシステム屋さんのセールストークを聞いたので、まとめてみた。

先日、ご契約いただいているお客様のもとにあるベンダーがプレゼンをしに来ました。

そのベンダーが担いでいるのは、とある海外のソリューションで、
業界人であればだれでも知っているような有名ソリューションです。

お客様から、私にも立ち会ってほしいという事でしたので、
横で聞いていたのですが
私がこれまで見てきたベンダーとあまり変わるところはなく、
あまりよい提案ではないなぁと感じたものの、
改めて客観的に聞くことになったので
ベンダー提案の何が良くないのか?を整理してみました。

まず結論から言うと、「前提の説明をしない」これだと思います。

ベンダーはデモを行う場合、客先の状況や要員などを考慮せず、
そのシステムの機能を潤沢に使用した環境の物で説明してきますが、
何より大事な前提が抜け落ちています。
それは「お客様の状況確認」です。

今自分がお相手をしているお客様には
IT部門が存在するのか?
それはどの程度のレベルなのか?
お客様はこれまでITにどれだけ投資をしてきたのか?
ITリテラシーはどの程度なのか?

こういった前提がないまま、とりあえず担いできた
有名ソリューションのフル機能を全力で紹介するというのは、
免許取ったばかりのお客様に
「車はやっぱりポルシェです。これ一択」
と言って、売りつけているのと変わりません。
話すだけ話して「いや、うち5人家族なんですが・・・」
となりかねません。

そうなると、貴重な時間を食いつぶしたという事で、
逆にマイナスイメージを与えてしまったりもします。

前提という意味では他にもあります。
「こんな機能がこれだけあるし、グラフや分析なども全部自動でやってくれます。」
みたいな体で話を展開するのですが
これは然るべき数々のマスタを然るべき形で整備し、
日々のメンテナンスもきちんとする。
活動実績もきちんと必要な形で必要な量だけ投入する。
こういった日々の活動が大前提としてあるので
実は運用は結構大変になるんです。
結果、こういったスキルの人が必要ですよという話になるんですが
そういった話についても触れません。

そうすると、お客様は
今までのやり方は変えず、これだけのアウトプットを得られる
と勘違いするわけです。

そもそもシステムを入れようと思考するお客様は
今の管理状態が良くないからシステムを入れようと思っているわけです。
相談の際にはシステムを入れたら全部解決ぐらいのノリで
ベンダーに相談してきたりするわけですが
実際は今までInputしてこなかった分、
お客様のInputの量は増える傾向にあります。
しかし、そこにはあえて触れず、Outputの変化だけの話をするから
誤解はどんどん深まっていきます。

というか、
ベンダーはこういった誤解をさらに深めようとしているように思えます。
お客様が「けど、それって運用大変になるんじゃない?」
というようなことをいうと
「いえいえ、これまでITの事にノータッチだった経営の方も
 十分に活用されています。例えば・・・」
と言って、非常に特殊なサンプルを
あたかも汎用的な例として提示して来たります。

これもよくあるといえばよくあるんですが、
ここで出される例は200社あったら1社ぐらいそういうこともあるかもね
というようなケースなのですが、
あたかもそれがみんなやっているように言うので
お客様は「へぇ」となってしまうわけです。

ここでお客様が
「でも・・・お高いんでしょう?」
というと、最終的な殺し文句として
「いえいえ、お客様のご予算もあると思いますので、
ご予算に応じて実装機能を絞り込んだりすることも可能です」
と言ってくるので、コスト的にも大丈夫な気になったりします。

しかし、ここでも大きな落とし穴があって
コストが嵩むからと言って、機能を絞り込んだら、
デモで見た機能は実装されない
という事です。
当たり前と言えば当たり前の話なんですが、
その時には気づかないで、最後の最後で
「あれ?なんか思ったのと違くない?」
となった時に
「えぇ。だって機能絞りましたからね」
と言ってくるわけです。

たまたま今回のお客様は私が横にいたので
「辞めたほうがいい。何故なら・・・・」
というお話をできますが、何も知らない経営者の方だと
この話の6~7割ぐらいは真に受けてしまうかもしれません。
結果、数百万~数千万の使わないシステムを導入となったりするわけです

実際、ベンダーさんの立場だと
お客様の事情など一値考慮なんかしてられないし
そんな事聞いてたら売れなくなるんでしょうが
それが嫌だから、今私はこういう仕事をしているんだな
と改めて認識したというお話でした。

このブログの人気の投稿

Stories 5話:今までの経緯を知らないまま、運用設計をする

社内のコミュニケーションを活性化!グループウェア導入のススメ

ITにどう向き合う?どう向き合ってもらう?