システム導入後の効果測定をしないわけ、したがらないわけ

一定程度の規模感のシステムを導入するとつきものなのが
そのシステムを導入した結果、得られた効果の測定です。

しかし、これはとても現場に嫌がられます。

何故かというと
システムを導入することで得られる効果として、考えられがちなのが
省力化
だからです。
となると、いわゆる偉い人達は
効果=どれだけ工数(稼働時間)が減ったのか?
と考えがちです。
稼働時間=人件費だからです。

そうすると、
システムを使う側の人間からすると必然的に

効果が上がったと報告すると人を減らされる?

と考えます。
これが今回の記事の全ての元凶になります。

これは、リーダーの立場からすると
「これ以上人を減らされたら、どんどんチームはきつくなる」
と考えますし
メンバーの立場からすると
「え?削られるのは自分?」
と考えます。
ので、
効果があったとしても、効果ありましたとは言いたくない

いわゆる偉い人は自身も働いていた側だったことがある人が多いにもかかわらず
何故か、この現実を見て見ぬふりをします。
自分が言われたら?言われた時にはどう思ったか?を忘れてしまったのでしょうか?
(単純に自分に関係ないと思っているからだと思いますが・・)

しかし、現場に嫌がられるからといって
たくさんのお金を使ってシステムを導入したのに
「その効果のほどはわかりません」
では、あまりにお粗末です。
なので、効果計測はやはりしたい。

そこで大事になるのは経営側の想いです
そもそもシステムを導入して何をしたかったのか?

・省力化を図りたかった
・そうではない別の効果を求めた

そしてその思いがシステム導入前にちゃんと謳われているか?
です。

省力化を求めているのであれば
効果計測として、どれだけ稼働時間が短くなったか?
を問うのは正しいですが、この場合大事なのは
プロジェクト開始前にそれを関係者にちゃんと周知していたか?になります。
今から入れるシステムは省力化する為のものだから、
そのつもりでみんな参加しなさいよ
と言わないと、システム導入の際にみんな省力化する為の活動をしません。
それをちゃんと落とし込まずに
システムを入れ終わった後に、いきなりそれを言うのは従業員からすると不意打ちを食らうようなものです。
なので、省力化を目的としたシステム導入なのであれば

プロジェクト開始前に、プロジェクトの目的の明確化とその周知

が何より大事です。
それができてこその効果計測です。

そして、プロジェクトの目的が省力化ではない場合
効果計測に省力化を持ち込んではいけません。
(持ち込んだとしてもあくまでオマケの効果です。)
それこそ完全なる不意打ちですし、経営に対する不信感を招きます。
別の目的なのであればそれがきちんと実装できたか?
その結果、何ができるようになったか?を計測の目的としなくてはいけません。
もっというと
システムの目的が省力化ではなく、新しい何かをする
であれば、省力化どころか稼働時間は増えてしまいます。

 

 これは私がよく関係者にする例え話ですが

今まで、
ミキサーを作って、バナナジュースを作っていたのであれば
材料はバナナ、ハチミツ、水、氷
でよかったのですが
今度からバナナケーキを作りたいんです
となったら
当然、材料は増えます
バナナ、砂糖、バター、卵、薄力粉等
そして道具もミキサーでは作れません。
オーブン、ボウル、ハンドミキサー等

ここでは、材料が入力するデータ、道具がシステムです。
システムだけ新しくしても、入力するものが今まで通りの物でしたら
バナナをただオーブンに入れるだけですから
何も出来上がりません。
これと同様にシステムを新しくして、新しい何かをしようと思ったら
入力するデータも一気に増えます。
入力するデータが増えるという事は、手間も当然増えるわけです。

ここを経営を含めた関係者にしっかり理解してもらう必要があります。
この「理解してもらう」というのは社内SEもしくはCIOと呼ばれる人たちの仕事ですね。
また、経営もその必要性をきちんと理解しなくてはいけません。

これができていないと、いざ効果測定をしようとすると
人を減らされたくないから、適当な数字をでっちあげる
例えば、様々な工程で少しずつ工数が減りました。全体でたくさん減りましたが
細かく減った工数の積み上げなので、人は減らせません
というような感じの無意味な報告が上がってきてしまいます。

これは、経営からしたら「そんな数字出されても」ってなりますし
現場からしても、ただ数字を無理やり捻出してるだけなので
ひたすらに無駄な作業になります。

たくさんお金をかけてシステムを入れた挙句に
その効果測定をする為に、意味のない数字を時間をかけて捻出する

というのは、誰が見ても無駄の一言に尽きると思います。
しかし、それが横行しているのが実態だと思います。

本当にシステムを入れて効果を計りたければ
導入プロジェクト開始前が大事で
その目的に沿った導入活動が必要で
それに見合った計測指標が必要になるのです。

コメント

このブログの人気の投稿

クラウドは危ないからデータを預けられない?

社内のコミュニケーションを活性化!グループウェア導入のススメ

Stories 5話:今までの経緯を知らないまま、運用設計をする