Stories 6話:根回し

さて、運用設計をなんとかかんとか終わらせて、
ほっと一息ついていると、今度はBIチームから相談を持ち掛けられました。

ただ正直、これまでBIチームと絡んだことは一度もなかったので
「何故、私?」と思ったのが第一印象でした。
だからといって、ここで「それは私じゃないと思うので、別の人当たって下さい。」
とお役所のような対応をするのも野暮なので、とりあえず話は聞いてみました。

質問の内容は、
「BIのデータ元であるシステムの事を聞きたいのだが
そもそも誰に聞けばいいのかわからない。
とりあえず知ってそうな人を捕まえてみたいのですが、貴方でよいですか?」

という事でした。
とりあえずこの場合、聞く相手は私で外れではなかったです。と同時に、
何故この会社の人たちはみんな(私も含めて)問い合わせ先に悩んでいるんだろう
という何か根源的な疑問も持ちました・・・。
が、一旦それは脇に置いておいて、私の方で応対をしたところ、データソースの問題ではなく、BI側で完結する問題だったので、一旦、この話は解決することが出来ました。

しかし、その話をしている中で新たな問題も確認されました。
データ元のシステムとBIの間には、その2システム間にデータを流し込むプログラムがあるのですが、その部分の担当者が不明確になっているという問題でした。
何かと不明確なことも多い会社です・・・

これも、直近私が困るという話ではないのですが
どうも誰に聞いてもこのあたりがグレーになっていて
しかも、誰もそこに触れようとしない
という状況でしたので、ゆくゆくはかならず顕在化する問題だな
と判断して、私の方で少し調べることにしました。

まず、おそらく現時点での担当者はこの人ではなかろうか?という人を捕まえて、状況確認をしたところ、
どうも元々は協力会社さんがその部分の機能のアレコレを担ってくれており、
プロパー社員はあまり関与できていなかった。
という事がわかりました。
しかも現担当は入社2年目の新人で、その協力会社さんはチームから離れてしまっているという状況です。
なので、その現担当も「何をどうしたらいいのか困っています・・・。」と有様で困り果てていたので、私も乗り掛かった舟です。
「へー、そうなんだ。大変なことになったね。じゃあ、あとはよろしく」
とも言えないので、
じゃあ、何とかできるようになるために、その協力会社さんから引継ぎを受けられないか?
調整に入ることにしました。

ここら辺から、社内の調整ごとが始まるのですが
色々と面倒なので、まず状況を以下に整理します。

【登場人物】
システムA:問題のシステム
Cくん:システムAの現担当。しかし入社2年目の新人で、何もわからず困り果てている。
X会社さん:システムAの面倒を見ていた協力会社さん。しかし、今は契約部門が変わり、担当から外れている。

【設定】
Cくんが担当になる前後で組織改編がおこなれている。
『組織改編前』
P部門:X会社さんとC君が所属しており、X会社さんがシステムAの面倒を見ていた。
J部門:システムAの周辺システムの面倒を見ている
『組織改編後』
P部門:システムAの管理部門ではなくなる。X会社さんとの契約しているのはこの部門だったので、X会社さんもシステムAとのかかわりがなくなる。C君はシステムAの担当になったので、後述するJ部門の所属になった。
J部門:システムAの周辺システムの面倒を見ていた為、それに絡めてシステムAも面倒を見ることになった、その結果、C君もこの部門に異動

【問題】
システムAとその担当であるC君はJ部門に異動したが、実態として、そのシステムのお守りをしていたX会社さんはP部門に所属しており、別の仕事をすることになっている

組織に所属していると、なかなか面倒なのですが
ここで問題になるのは、
じゃあX会社さんにC君が引継ぎを受ければいいね。よっしゃお願いしに行こう!
とはならないという点です。

何故かというと、X会社さんと契約をしているのはP部門である一方、
X会社さんに時間をもらいたいのはJ部門にいるC君だからです。
つまり、J部門の為の作業をするためにP部門のお金を使う事になるので
勝手に「じゃあ・・・」とはならないわけです。
大企業のあるあるの面倒なところです。

そこで、根回しが必要になるのですが、
C君の立場になったのが私であれば、自分自身で諸々の調整をしてしまうのですが
入社2年目の子にそれをやれというのは無理があるので、今回は私が代行することになります。
ちなみに私はC君の上司でも何でもないので、本当はこういう事はC君の上司にやってもらいたいのですが、C君の上司はやってくれないので、なぜか私がやります。

まず、確認することは大前提として
・X会社さんからしっかり引継ぎを受ければC君でも業務ができるようになるか?
です。この前提が崩れてしまうと、スタートから失敗するので、まずはそこを確認しました。

さすがにそこはC君の上司も巻き込んで、
・もし、X会社さんから引継ぎを受けられるという事になるのであれば、C君+C君の先輩も一緒に引継ぎを受けるので、最悪、C君のみで対応できなくてもJ部門で対応可能な体制にはする。
という話は合意できました。

次にすることは
・J部門の偉い人(予算を管理している人)に、C君のためにP部門の偉い人にX会社の時間を分けてほしいという話を交渉しに行っていいか?
という確認です。

P部門ではなく、まずはC君の所属するJ部門の偉い人に話を通しておきます。
先にP部門の人に話を通してしまって、J部門の人がそれを知らないとなると、色々と面倒なことになるかもしれないので、まずは足元を固めます。
そしてこれも問題ありませんでした。

そして、最後に
・P部門の偉い人に(予算を管理している人)に、C君の為にX会社の時間を分けてほしいというお願いをする。
という手順を踏みます。

実はここに至るまで、権限はない癖に口は出すという人がたくさんいて、色々と面倒だったのですが、最後のここはあっさりでした。P部門の偉い人も薄々状況は理解してくれていたので、実際に動き出した人間(私)が出てくれば、話はすんなり通してくれました。
そして、無事にC君はX会社さんから引継ぎを受ける段取りを組めることになりました。

ただ、最終的には引継ぎを受けなくてもよくなったというオチがついてしまったのですが・・・それはまぁ、置いておいて。

社内SEというか、組織人として働く場合、こういった手順を踏むのは面倒で、時間もかかることですが、こういう事をせずに動き出すと、事態をより複雑にしてしまう事があるので、面倒でもせざるを得ません。
特にシステムエンジニアはこういう作業が苦手だったりするので、
無駄に火種があちこちに飛んでいくということがあるのですが、
最近は会社のあらゆる部門にITが浸透しており、むしろ社内SEにはこういった根まわしは必須の能力になりつつあるので、こういった事をするシーンも多いと理解しておく必要があると思います。

ちなみに会社の規模が大きくなればなるほど、歴史が古ければ古いほど、面倒になる傾向にあります。
私も所属している会社がいわゆる大企業だったので、まぁ面倒でしょうがなかったです。
そして、何かをしようとした場合、こういう根回しの時間も間に挟まってくるという事もスケジュールに組み込んでおかないと、このせいで全体スケジュールが遅延するという事態も起こりかねないので、よくよく注意する必要があります。

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