喋る力、見せる力について

知り合いから、質問を受けたのでそれについて書いてみます。
資料作成の技術とか、プレゼン力ってどうやって身につけたらいいんでしょうか? 

社内SEってどうしても世界が閉ざされがちなので、
洗練されている会社に入れればいいけど、旧態依然とした会社に入ってしまったら
自分もそれが当たり前だと思うから、ろくな資料も作れないし、喋りも上達しない
というのが悩みというか最近気づいたことみたいです。

さて、これの回答ですが
プレゼン力はある程度、意識することで改善できるが、プレゼン資料の作り方に絶対解はなく、会社毎の最適解に合わせる必要がある。しかし、それで一向に構わない
となります。

プレゼン、資料の作り方に悩む人は多いと思いますが、結論を書くと上のようになります。何故か?というと
資料の作り方は会社ごと、そして受け取り手によって求められるものが変わる
からです。
それは内容もそうですし、見せ方もそうです。

例え同じ内容でも
いわゆるコンサルが持ってくるような形で資料を作った場合に
それを受け手が求めていなければ、あまり意味がない
というか、下手すると評価が一変したりします。

コンサル的な資料を見せて
「おぉ、すごい!」って言ってくれる人もいれば
「小難しく言ってるけど、結局何が言いたいの?」って一刀両断する人もいますし、
わかりやすいようにと、かなりシンプルに仕上げたら
「なんか・・・・簡単な資料だね」と落胆されることもあれば
「いいじゃん、わかりやすいね」といってもらえる事もある。

皆さんにも経験があると思います。
プレゼンの本番前に課長に見せて、「ここはこうした方がいい」と何度かダメ出しを受けて
せっせと直した挙句、本番で部長に見せたらコテンパンにダメだしされたとか、結局最初に自分が作った資料の形に戻ったとか(笑)
しかもその時、課長は無言を貫き通しているとか(笑)
ただ、これはもう、つきものなのでしょうがないですね。
直属の上司である課長の意向を無視して資料は作れないけど、そもそも課長は部長の志向を理解していないので、課長の言うとおりに作ったら、間違いなく部長に怒られるという。
これは組織にいる以上、逃れられない事実なので、ここはもうあきらめましょう・・・。

しかし、かといって、ダメ出し前提で毎回適当に作っていると、
「こいつ、毎回同じこと繰り返すな」と思われるので、ちょうどいい塩梅で課長と部長の間をとるような資料を作れるようにならないと、自分は成長しない上、毎回怒られるし、受け手は毎回同じ指摘をして疲れてしまい、お互い不幸なので、ちょうどいい塩梅で課長と部長の間を取れるような資料を作れるようにしましょう。

ただ、間違いなく言えるのは
上にも書いた通り、資料作成のポイントは相手次第で如何様にも変わるという所です。
相手が望む資料を作るという事が全てです。
これは資料に限らず、何につけてもですね。
例えば、EC戦略について革新的な内容を書いていて、見る人が見ればとんでもない効果をもたらせてくれるような資料があったととしても、それを伝統芸能の職人さんに渡しても何も生み出されないという事です。
そんなもの求めていない相手に、これ見よがしに見せても何も生み出されません。

相手が求めているものを、相手が求めている形で見せる
という事が肝要になるので、評価される資料を作るのはとても難しい
という事なのですが、難しい、難しいといっていてもしょうがないので、
ポイントだけ書いておきます。
資料を作る際に気を付けることは
・資料の目的を決める
・資料を見せる相手を決める
・見せる相手の立場を考える
・見せる相手の性格を調べる
・見せ方を考える
というところが大事になると思います。

【資料の目的を決める】
これは額面通りの話ですが、意外と見落とされるポイントです。
単純に現状を定量的に表した状況を説明したいのか?(あんまりこれが目的という事はないですが)
状況を踏まえた上で、報告相手に何かしてほしいことがあるのか?
理解しておいてもらいたいことがあるのか?
相手の次のリアクションを想定して資料を作らないといけません。
まずここを踏み外していることが多かったりもします。

【資料を見せる相手を決める】
報告資料を見せる相手が一人。という事はあまりありません。大概が複数人を相手にすることが多いのですが、全員にウケる資料を作ることは難しい。というか不可能です。
なので、その何人かいる相手の誰に説明するか?をターゲットにしましょう。一般的にはその中で一番偉い人、ないし声の大きい人です。

【見せる相手の立場を考える】
ターゲットを決めたら、その相手の立場を考えましょう。相手が課長なのか?部長なのか?取締役なのか?社長なのか?で見せる情報の粒度が全く変わります。
課長に見せるような粒間で情報をまとめて、それを取締役以上の人に見せても「細かいなぁ・・・・」「よくわからんし」となってしまいます。
逆に社長に見せるレベルの粒度で仕上げてしまうと、課長とかは「いやいや、ざっくりしすぎ!!」となってしまいます。
なので、相手の立場を考えて情報をまとめる粒感を考えましょう。

【見せる相手の性格を調べる】
上の立場の話とちょっと重なりますが、立場は部長なんだけど、マイクロマネジメントを行う人だと、すっごい細かい話を突っ込んできたりします。「色んな人が集まっている中でそんな細かい話ここでする?」っていうような話をしてきたりするのですが、上で述べた通り、その人をターゲットにしているのであれば、その人に合わせて情報を用意しておきましょう。逆にターゲットにしていない人から、細かい話を展開されたら、適当にあしらって大丈夫です。「今回はそこまでの情報はこの場に用意しておりませんが、後ほど共有させていただきます。」とかですね。

【見せ方を考える】
最後にこれです。
見せ方です。グラフィカルにそれっぽく仕上げた方が請けがいいのか?表で事実のみを数字で見せた方が受けがいいのか?ここで大事なのは自分のこだわりは一切捨てることです。

報告資料は自分の為ではなく、相手の為です。
自分的に「ダサいなぁ・・・・」と思っても、この際それはどうでもいいです。
報告資料がパワーポイントなのに、中身は文章だらけ
とかでも全然かまいません。
相手がそれを望んでいるのであれば。
ここが一番、作り手側の気持ちの整理がいるところかもしれませんね。
私もパワーポイント使ってるのに、中身が文章だらけで
報告もそれを読み上げるだけなんてやり方は凄く抵抗がありますが、
それを求めてくる人も実際いるので、そういう資料を作ったことも何度もあります。

このように報告資料にはこれといった正解はなく、完全に受け手依存の作業であり、資料になるので、正解はないのですが、
では、どうやってその力を身に着けたらいいのか?
という回答は、所属している会社でプレゼンを評価されている人の真似をする。
です。

勿論、これも上に述べているように、
その会社の正解でしかなく、絶対的な正解ではないですが
そもそも絶対解はない作業なので、そこは割り切りです。
そもそもフリーランスでもない限り、その会社での最適解がわかりさえすれば問題ないはずです。
それが外の世界で意味があるか?はあまり意味を持ちません。
外の世界に出ても、結局はその会社での最適解を探すという事の繰り返しなので
絶対解を探すのはあまり意味がありません。
それを踏まえた上で、上記のポイントで所属している組織の最適解を探す
というのが正しいアプローチだと思います。

ただ一方、プレゼン力(喋り方)というのは比較的共通で養っていけると思います。
ポイントもわかりやすいです。
・自分で、ちょっとゆっくり過ぎるかも?ぐらいのスピードでしゃべる
・ドッグワードを使わないように心がける
・質問者の発言を遮らない(質問内容がわかってもちゃんと最後まで聞き切る)
・ちゃんと読み込んで、資料の意味を自分自身に腹落ちさせてから、しゃべる
・自信をもって、資料の報告相手を見てしゃべる
といったところでしょうか。

【自分で、ちょっとゆっくり過ぎるかも?ぐらいのスピードでしゃべる】
喋るスピードは大事です。早くていいことはありません。皆さんも経験あると思いますが「この人しゃべるの早すぎ」というのは感じたことはあっても、「めっちゃゆっくりだなぁ」なんて感じたことはないと思います。

早口でしゃべると、自信がなくて捲し立てているようなイメージを持たれますし、聞いている側の集中力も削ぎます。自分で「ゆっくり過ぎるか?」ぐらいが聞いている側には丁度良いので、強く意識しましょう。突っ込まれるのが怖くて、早く突っ走ろうとすると、逆に突っ込まれます。

【ドッグワードを使わないように心がける】
質問者の発言を遮らない(質問内容がわかってもちゃんと最後まで聞き切る)
この二つはプレゼンに限った話ではなく、通常会話でもそうですが、
ドッグワードは一点目と同じように、聞き手の集中力と話し手の自信のなさを感じさせます。
質問者の発言を遮るのも、当然アウトですが、意外とやっちゃう人が多いです。
何を言わんとしているか?が途中でわかっても、ちゃんと話を最後まで聞きましょう。
その態度は聞き手側に安心感を与えますし、説得力を持たせます。
話す側としても、一息つけるので落ち着くことが出来ます。
緊張するプレゼンの時間の中の、休憩時間と思って聞きましょう。

【ちゃんと読み込んで、資料の意味を自分自身に腹落ちさせてから、しゃべる】
自分で作った資料でも、意外とちゃんと把握していなかったりするのがプレゼン資料です。
作っている最中はちゃんと理解できているつもりでも、プレゼンの最中に
「そのデータってどこからどういう条件で取ってきたの?」と不意に突っ込まれた際に「えーと、えーと」となると、相手に猜疑心を抱かせますので、理路整然と答えられるように、しっかり整理しましょう。
この資料からこういう条件でデータを絞って、そこからこういう風に加工して
というように、簡単にメモ書きを用意しておくのも有効だと思います。

【自信をもって、資料の報告相手を見てしゃべる】
最後、うつむいたり、手元の資料ばかり見ていると、読まされている感を相手に与えて
「大丈夫か?」という印象を与えてしまうので、ちゃんと報告相手を見ながらしゃべりましょう。
勿論、一人だけ見ているとそれはそれで違和感あるので、
まんべんなく、見渡しながら話をするとよいです。

以上が資料の作り方とプレゼン力の磨き方についての
私なりの回答です。
勿論、ブログで書けるのは限界がありますが、上記の事を理解していれば、
だいぶ報告の仕方も内容も変わってくるかと思いますので、参考にしてください。

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