システム子会社が社内SEの代わりになりえない理由

今回の題材については、すでに痛い目を見ている会社もあると思うので
今更感はありますが、改めて記載しておこうと思います。

情報システム部門をシステム子会社として外に出した場合のメリットは
・固定費削減
・あわよくばグループ全体の売り上げ貢献
というところだと思います。

言葉を飾らず言うと、

固定費を削りたいので別会社にします。
仕事はあげるけど、足りない分の食い扶持は自分で稼いでね。

です。
固定費は削れるわ、子会社として頑張ってくれればグループとしての売り上げは上がるわ
一石二鳥を狙ったわけです。

そして、ご存じの通りこの思惑はうまく行かず
子会社化した情報システム部門を呼び戻すことになったり
それができずに圧倒的にITに弱い会社になったり
という結末を迎えてしまいました。

なぜこうなってしまったか。
という理由ですが、つまるところ

子会社は別会社である

ということです。
子会社になってしまえば、「された」側はまさに「した」側の思惑通り
自分の食い扶持は自分で稼がなくてはいけません。
そうなったら当然、親会社のことばっかり考えてられません。
もちろん、親会社のいう事は優先度が高いので、無碍にすることはありませんが
親子関係を盾にコストダウンを迫ってくる上、自分たちの生活の保障をしてくれるわけでもない人達のいう事を本気で考える訳はないのです。

「本当はこうやったらいいんだけどなぁ。まぁけど売り上げになるわけでもないし放っておこう。なんだったら困って泣きついてきて、新たな案件になるかもしれないし。」

こう思っても不思議はありません。
そんなお金にならないことばかりに気を使ってもしょうがないので
親会社以外のもっとお金になる顧客がいればそっちの方を熱心に考えはじめます。
そして、発注元自身が「発注先がそういう風な思考に進んでいるかも?」ということを判断できる人達を手放して、当の発注先にしてしまっているのですからどうしようもありません。

一方、社内SEは違います。
社内で起こるシステム課題は我が事であり、それを解決するサービスを提供することが職務ですから、課題に臨む姿勢が根本から違います。
課題を解決できなければ存在理由がないですし、実際それによって会社の売り上げが下がって困るのも自分なのですから、当たり前といえば当たり前です。
直接的な利害関係があるということです。

これらのことから、

企業が社内のシステム課題を解決したければ
決して情報システム部門を外に出してはいけません。

外に出すということは他人事になるということです。
それは親会社から見てもそうですし、子会社化された側からもそうです。

「同じグループ会社なんだから他人事じゃないでしょ?」
と思うのは親会社だけです。
いざとなったら会社ごと切り捨てる気持ちがなければ、
そもそも社内にあった部門を別会社にしたりなどしませんよね?

企業の課題≒IT課題となりつつある現在、
その課題を解決する部門を増強しこそすれ、外に出すなどと、
今やどの企業でも考えてはいないと思いますが、
何故過去に失敗したのかの一因を書いてみました。

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